ユウスケのエイジング日記

革ジャンやデニムのエイジング記録を中心に好きな服に関して書きます

ホースハイド(馬革)のジャケットを選んだ理由 (LewisLeathers WesternJacket)

yuusukeaging.hatenablog.com

↑前回の記事で、ルイスレザーズのウエスタンジャケットをどのような仕様でオーダーしたか書きましたが、その中の「なんで馬革を選んだか?」については、それについて書くだけで長くなってしまうので、今回別の記事で書きました\(__)

革ジャンに興味ない方からしたら、かなり長文になるので気を付けて下さい!



LewisLeathers(ルイスレザーズ)のジャケットに使われる革は、大きく分けて3つある。

・カウハイド(牛革)
・ホースハイド(馬革)
・シープスキン(羊革)


この中で、なんで僕がホースハイド(馬革)を選んだか、様々な基準や視点で書いていきます。




この3つの革の強度や頑丈さは、

牛>馬>羊

の順で、柔軟性は逆の順番で良いと思います。


どの革を選ぶか、1つ目の基準は、革ジャンの硬さとどのような頻度で着るかの関係性です。



↑以前、ステュディオスのラム革のジャケットを持っていた。
これを通勤用として毎日(雨の日も)ハードに着ていたら、1年経つ頃には細かい傷がたくさん出来てしまった。

こういう柔らかい革ジャン(というより、ステュディオスのような100%街着寄りのブランド)は、週1回や月数回のお出かけに使うのには適しているが、頻繁に着たり、ラフでハードな扱いには向いてなかった。
綺麗めに着る物なので、ハードに使うと、味が出る前に痛んでしまうので、経年変化は楽しめないと思う。


頻繁に着るなら、ある程度強度のある硬い革が良いかもしれない。

そういう革なら、経年変化も楽しめる。



僕がルイスレザーズのジャケットをどう着たいかですが、高級品なので大事に着たいけど、一生物の相棒として愛用したいので、丈夫さと着やすさを兼ね備えている革が良い。



エスタンジャケットはデフォルトだとシープスキン(羊革)になる。

シープスキンのジャケットも実際に触ったり試着してみましたが、意外と頑丈そうだったりする。
(いくらオシャレなブランドでも、ルイスの革ジャンは元々バイカーのために作られたので)


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↑こちらの記事で少し触れたが、ルイスの通常のシープスキンはシボ感(細かいシワが集まって模様みたいになっている表情)があって、僕は好みではないが、シボ感のないラットランドシープという革もカスタムオーダーで選べる。



だったら羊革でも良いか?と思いそうだが、実はそうはいかない理由があった。




そこで次の基準になる。

革を選ぶ上で無視できない、鞣し(なめし)について考えたい。



鞣しとは、動物の生の「皮」を、防腐処理をして製品として使える「革」にするための作業だ。
鞣しは大きく分けて2種類ある。


・「ベジタブルタンニン鞣し」

植物のエキスから抽出したタンニンを使った、古来からある鞣しで、渋鞣しとも呼ばれる。
手間と時間がかかり、数多く作れない。
可塑性があり、早くに味わいのある、激しい経年変化をするが、水に弱く頻繁に手入れをしなくてはならない。
リアルマッコイズ、バズリクソンズ、ハイラージレザーズなど、日本のアメカジ系のブランドはほとんどタンニン鞣しの革ジャンを作っている。


・「クロム鞣し」

塩基性硫酸クロムという科学薬品を使った鞣しで、19世紀中頃に開発された。
大きい機械で大量に鞣すことができ、世界で流通する革の8割がクロム鞣しで作られていると言われる。
柔らかく耐久性があり水にも強いが、経年変化はしづらいので、味が出るのに時間がかかる。
ショット、バンソン、ラングリッツレザーズなど、本格的なバイカー向けのブランドは、クロム鞣しを採用している。



「ベジタブル鞣し」と「クロム鞣し」どちらが良いかは一概には言えない。


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↑こちらの記事で、見た目で客観的に判断できない情報にこだわることがどこまで正しくて必要か?という問題提起をした。

鞣しに関しては、どちらが好みかは別にしても、知らないで選ぶと大変なことになる。
勉強しないで買って、後で知るとかは嫌だ。



ヴィンテージ感のある経年変化をするから、タンニン鞣しの方がファッションとしては良さそうだけど、水に弱く手入れに手間がかかるのは、自分にはハードルが高い。
日常に着る物としては、僕はクロム鞣しの方が自分に合うと思った。
(タンニン鞣しの製品を持ったことはないけど)


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↑こちらの記事で書いた事件は、ジャケットをオーダーした後に起きたが、クロム鞣しの革は水に強い。


ルイスレザーズの牛革と馬革はクロム鞣しだが、羊革はベジタブル鞣しで作られているのです。
(ラットランドシープはコンビ鞣し)

以上のことから、先ず羊革(シープスキン、ラットランドシープ)は候補から早くに外れました。




さて残るは、「牛」か「馬」か・・・。



(引用:キン肉マン 52巻)


(引用:キン肉マン 73巻)

カウハイド(牛革)とホースハイド(馬革)、どちらにするか?
これは本当に悩みました(@_@;)

カウハイドを選ぶと+10000円になる。(2021年からのオーダーは+20000円)


パッと見、違いとかほとんど分からないし、試着した感じも極端に変わる訳じゃない。



ルイスレザーズジャパンの公式HPの、よくある質問にも、「カウとホースどう違うか?」というのがある。
やはり、皆気になるようだ。


そこには、

「カウの方が繊維が多いので耐久性は高くなりますが、実際には大差ないと考えて頂いて大丈夫です。革の厚みと繊維が多いことからカウの方が、ズシリとした重厚感があります。ホースの方が軽量でカウに比べると繊維も若干少なく来易さといった点ではホースに軍配が上がります。」

と記載されている。


これだけ読んでも、まだハッキリしない。


高いジャケットなので一生物にしたいから、耐久性のある牛革にした方が良いのか?それならわざわざ馬革を選ぶ意義は何か?

「何となく革製品といったら牛革がメジャーだから」とか、ハッキリと自分の中で納得できる理由や動機がないまま、「とりあえずビール」みたいな理由では決めたくない。



馬革の製品を持ったことがないので、適当な小物でも買って体験したいと思っていたところ、

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↑ルイスレザーズからカードケースやキーホルダーなどの小物も出ているのを知った。

ジャケットに使われている馬革と同じらしいので、これ以上のサンプルはない(^o^)


↑実際に触って使ってみると、独特の弾力と張りがある。
よく馬革の質感を、「パリッとしている」と表現するが、実際に持ってみると何となく分かると思う。

「ムチッ」とか「モチッ」とも表現できる。


↑家系ラーメンの総本山「吉村家」の味を、「パンチがある」と表現されるが、言葉だけだと想像しづらいが、実際に食べてみると「あの味のことね!」と分かるのと似てるかもしれない。



馬革の特徴を説明する時に、「耐久性は牛革に劣るが、柔軟性は上」みたいによく書かれる。

でも「劣る」って書くと何となく悪い印象な気がする。
(もちろん「劣る」と書かなければ本質を言い表せないのかもしれないけど)


なので、自分流に表現すると、


「牛革に近い耐久性だが、牛革より柔軟性がある」「羊革に近い柔軟性だが、羊革より耐久性がある」


これが、実際に馬革の製品を使った、僕の印象です。


実際に馬革の製品を手にして、「馬革って何かいい」という感情が、「経験ないから怖い」という感情を越えた。
「馬革の何が良いか」全て言語化は出来ないけど、自分の中で感覚的にハッキリ動機が出来ればそれで良いと思う。




ここで考えたい次の基準が、どのように経年変化するか?だ。

これは新品の状態を見たり試着しただけでは分からない。


雑誌などで、何年も着たルイスレザーズの写真を見ると、牛革のジャケットは変化が大人しい。
対して馬革のジャケットは、シワがハッキリ刻まれて味わい深い表情になる。

硬い方がシワがくっきり出そうだけど、可塑性の問題か、牛革はあまり変化はしないそうです。

ルイスレザーズの店員さんにも、変化が出やすいのは馬革と聞きました。


これもどちらが良いかは好みになると思う。

綺麗な状態を長く保ちたいならば牛革が良いだろうし、僕は変化を味わいたいので馬革の方に惹かれた。

この基準や動機が決定打になった。



ここで「どの革を選ぶか?」の前に、「何でルイスレザーズを選んだか?」という問題に戻りたい。


革ジャンのブランドを一通り勉強したり、ブランドの成り立ちを見て、「本格的なギア(道具)としての頑丈さ」と「本格的な街着としてのファッション性の高さ」を一番両立しているブランドだと思ったのです。

そういう動機を満たす革として、馬革こそが理想的な革なんじゃないか?と感じました。




また、これはミーハーな動機かもしれませんが、

馬革を選ぶって、何か通っぽくないですか?(笑)


上でも「とりあえずビール」的なことを書いたけど、一般的に革製品といったら牛革がメジャーだし、柔らかくて扱いやすい革といったらラム革がメジャーな気がする。

でも馬革って何となく馴染みがなく、何となく上級者向けっぽい。
僕自身、今回の記事に書いた通り、馬革の魅力を知るのに時間がかかった。


「あえて馬革を選ぶ俺って凄くね♪」
みたいな(笑)



もちろん、こういう動機が優先順位の上の方に来るのはいやらしいですが、片隅にあるのは悪くはない筈。

良い物を所有して、自分を潤わせたり自信になるのもファッションの動機だと思います。





以上、様々な基準で、どの革が自分に良いか考えた結果・・・・


↑馬革(ホースハイド)を選びました☆



思わず舐めたく・・・・・
あ、失礼しました。

思わずキスしたくなります(^з^)-☆


さぞかし美肌なお馬さんだったのだろう。



手に入れた後、出かける用事があったので、1日着てブラブラしてみましたが、


↑たった1日でも変化があります。
(手に入れて3日目)
いい感じでエイジングしてくれそうです♪

「これから自分に馴染む」という新品の抵抗感はありつつ、最初から着やすい(^ー^)




(余談)

ルイスレザーズの通常のカウハイド(牛革)は、クロム鞣しだが、2020年から新たに、ベジタブルタンニン鞣しのカウハイドが登場しました◎
(しかも茶芯!)


こちらを選んだ場合の追加料金は、何と70000円だ。
ハイブランドのジャケットと同じくらい\(◎o◎)/

茶芯マニアじゃなくて良かった(笑)



↓1ヶ月着た状態の記事です。

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